2025年5月21日水曜日

ミニマリズム

ミニマリスト(最小限主義)とマキシマイザー(最大追求)は対照的な概念として認識していた。
方向性は違いながらもストイックで、何かを突き詰める姿勢は似ているよなとは思っていたが、実は相反する概念でもないかもしれない。

いいとかわるいとか、正解不正解ではなくて、この界隈に対しての疑問と私なりの観察した結果についてフィードバック。


いわゆる古典的な片付け術としてなのか、
ものを持たないミニマリストが無駄の多い現代に対するアンチテーゼ的な美学なのか、
どういう文脈で語られるかによって印象が異なる。

個人的にはものを持たない(財布や冷蔵庫やデスク、寝具などの必需品を含め)のに、
スマホにアプリを入れて使っていたり、ブログや動画配信をしている人は
真の意味でミニマリストではないと考えている。

ある雑誌の記事を立ち読みよしていたところ、欧米からの移住者で田舎の家を買って住んで暮らしている人の生活がフューチャーされていた。

インフラは湧水のみ。電気やガス、インターネットは当然としてスマホや電話などを使用していなかった。
自分で農作物を育て、薪をとってきて火を起こし、夜は暗くなったら眠るというようなシンプルな生活をしていた。
カルチャースクールのようなものを主催していると読んだ気がするが、それも農業に関するものだったと思う。

モノも少なければ、直接会って話す以外のコミュニケーション手段もないし、
教え子とか取材に来る人とくらいしか繋がってなさそう(そもそも国外移住者なので血縁関係は日本に住んでなさそう)。
世俗的な煩わしさはほとんど無縁だと思った。

いわゆるミニマルな生活というのは、こういうことのなのかなと思う。


2010年代にネットで流行ったミニマリストというのは、個人事業主として働くエンジニア、
いわゆるノマドと相性が良かったからだけだと思う。
あまりものを持たずに、Macbookと無印良品を一着だけ持っているというような。

さらに住む場所にもとらわれないで、移住やIターンなどを取り入れて人気になったのがイケダハヤトさんのような意識高いブロガーだったようなイメージ。


2020年代のコロナ禍以降に流行ってきたのは、”持たない生活”というよりは”持たざる者がいかにスタイリッシュに見せるか”ということだと思う。

アメリカなどでは、近藤まりえさんのような片付け術が単に珍しかったのかもしれない。
あまりお金をかけずに、低コスパで暮らしを良く見せる。

所得を変えずに質的に高い生活を維持するためにも、不要なものを買わない。
そのためには所有物を整理するのは最短ルートだといえる。



そこからさらに発展した理論として「(片付けて)ものを少なくすれば(金運があがり)お金持ちになる」というものもある。
ここにはちょっと論理的な飛躍があると考えている。

参考画像を引っ張ってきた方が話が速い。





”ミニマリスト、部屋”というキーワードで検索した画像。
ミニマリストしぶさんと言う方のブログ。私が想像する典型的なミニマリスト。
(この方は著書も出しているらしい)ここで引用されている文言
”「ドラマの演出では『貧乏人の家』にはモノをわざと増やし、余白をなくすことで 『貧困』を表現する。逆に、豪邸のセットではモノを減らし、何も置いてない床の面積を増やして『余裕』を表現する」”

これは単純に床面積という絶対的な広さによる違い、収納容量の差が大きいと考える。


続いて下記。





なかなか適当な画像を出すのが難しいが”Luxury Room Simple Modern”などで検索。
『モダンリビング』という雑誌に出てくるような高級物件の部屋をイメージすればいいと思う。

両方とも良く片付けられた寝室、部屋の写真なのだけれど決定的な違いがある。
”ものが少ないかどうか”ではなくて”床面積”が圧倒的に違う。





以前いわゆる富裕層の方のお宅にお邪魔したり、生活感を伺ったりする機会があった。
都心部の賃貸あるいは分譲マンションに住んでいる方が多かった。
国内外の複数の物件を所有していたり、郊外にガレージハウスがあったりする方も多い。

メインの住まいも家賃数万とかのレベルではなくて、1億超だったり有名ホテルの経営でコンシェルジュがいるような住まいもある。

物件価値はブランドと立地、床面積でほぼ決まると言ってもいい。
そこに間取りや機能性、デザインなどの要素が入ってくるが、一定レベルの物件は全て高水準を満たす。

簡単にまとめるとお金持ちはものが少ないのではなくて、片付けられるくらい広い家に住んでいるだけで。
ものが多かったらそれを収容するスペースを用意できる、というだけだと思う。






標準偏差の図で考えるとわかりやすくて、
持つものと持たざるものはそれぞれの両極端に位置しているといえる。
ぱっと見の印象ではものがなくてスッキリしている家でも、質的にかなりの開きがある。

お金を無駄遣いしないからお金持ちになるし、
お金があれば質の高いものを買って長く使うから物は減る。

質の高いものは全体の流通量としては少ない(表の右端に位置する)ので、
そうそうたくさん買い揃える必要もなくなる。

高級外車や絵画や美術品などは、
維持コストも莫大になってくるので、高温多湿になりがちな日本の自宅でたくさん保管するには向かない。

有名Youtuberなど莫大な資産を持っていても、画面外では大量にモノや商品が散乱している場合もあるかもしれない。


基本的には支出より収入が上回ればお金持ちといえる。

ほとんどのお金持ちは銀行残高、固定支出、ローンや借入金などの資産状況を整理して適切な管理をしているだけの普通の人だという印象。

いろいろなパターンはあると思う。
一発に当てて派手に散財するタイプ、知財やロイヤリティなどの権利収入があるタイプ、
先祖代々土地を所有している地主一族、スポーツやアートや芸能関係で収入の桁が大きかったりするなどなど。

大きなインカムだけではなく、不動産や株式などのキャピタルゲインで複利を得るという方法は
たぶんお金持ちなら誰でもやっている。

それでも収入(≒資産)>支出という原則は変わらない。
個人的にはそこには掃除とか片付け力が直接的に関わっているようには思えなかった。

マメに管理したり記録したり、乱雑な状況をまとめられる。
必然と部屋も所有物も管理して整頓されるし、余裕があるから床じゃなくて大きな収納にしまっておける。


・巷で言われていることを鵜呑みにせず、いくつかの要因を紐解いて理解する
・今の自分の位置を正確に把握
・なりたい目標をとりあえず設定する
・そのギャップを埋める行動をする

それだけのことだが、それぞれの段階でそれなりに難しく、
実行を継続していくのがさらに難しいので結果的に大きな差が開いていく。

現実は意外とシンプルなことなのかなとおもう。

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